propman's diary

「ヨット&ボートの修理屋」 propman(プロップマン)の身の回りの出来事などを綴っています・・・
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量産ヨットの立役者「ヤマハ発動機のクルーザーヨット」
 ちょっと前に「ヤマハ30C」というヨットのエンジンを修理をしました。ヤンマーのYC12という単気筒のディーゼルエンジン。
シリンダーライナーのかじりがあり、諸々の部品交換と、吸排気バルブの摺合せなどがメインでした。
フォクスル(バウ)にエンジンがあり、真上のハッチは小さいのでエンジンを外に出すのが大変な構造なので、船内で修理を行いました。
ライナー交換はエンジンをマウントから外して斜めにずらさないと抜くスペースがありません。

YC12ライナーを抜くスペースがありません… YC12ライナーとピストン YC12バルブ摺合せ YC12修理完了

ウォーターロックも水漏れがあったのでFRP施工。
久しぶりの古いエンジン修理でした。それなりに狭いスペースなので、体がのあちこちが痛くなりました(苦笑)
エンジン持ち上げたり、なんだかんだで無事修理完了。

このエンジンを修理しながら思い出しました。
エンジンがなぜかフォクスル(バウ)にあるヨットって不思議に思います。ヤマハ発動機が一時期やけに拘った構造です。

元々はスウェーデンのデザイナー「ピーター・ノーリン」設計の「SCAMPI(スカンピ)」というヨットが、日本のヤマハ発動機でライセンス生産されることになり「ヤマハ30SCAMPI」という名前で発売されたのがマークⅠと呼ばれるもの。
ノーリンの設計通り、当時はエンジンが、一般的なコックピット下にエンジンが置かれていました。
その後、ヤマハがマイナーチェンジしたSCAMPIのマークⅡを出してから、エンジンバウ置きの「奇行」に走る。
このとき、キャビン内の配置が大幅に変わり、トイレはフォクスルから入口下に変わった。
またその後、トールリグになってハルのフリーボードが約10cm高くなったマークⅢが発売され、これもバウ置きエンジン。
ヤマハ25マークⅠはコックピット下のエンジンだったけど、その後のヤマハ25マークⅡはやはりバウ置き。

なーんでバウにエンジンを置いたのか?
ヤマハ25マークⅡは大人2人も乗れば割と前後のトリムバランスがまだ良いほうだったと思うんですが、その他のバウ置きエンジンの艇はまあ、数人乗っても間違いなくバウ沈状態で前後のトリムバランスが悪い。

理由は諸説ありますが、
①エンジンは当時は単気筒エンジンが主流で、振動や騒音の問題があったため、フォクスルに置くことでそれを回避したという説。だから、他の艇にもこれを流用したのではないか。

②SCAMPIは当時のハーフトナーのレースでは大活躍で、ダントツの上位を占めるというものだったらしいんですが、マークⅡを出すときレーティング(ハンデキャップ)をもっと有利にするためにエンジンをバウに配してあえてバランスを悪くしておいて、無人で浮かんでる状態では遅いフネを演じ、クルーがコックピットに5人程度乗ると、バウが上がって良いトリムになるという考えだった…という説。
ルールの穴を突いたレーティング対策ですが、そこまでやるとはねぇ…

②の場合、SCAMPIはギンギンレーサーなのか?当時はレーサーとクルージング艇の線引きみたいなものはあまり無かったから、速さというイメージを前面に出したかったのだろうか?

レースしたくない人はいつも5人乗ったりしないだろうし、バランスの悪いトリムのままだと格好悪い。
キャビン内に入ってみて、ふと感じるのが、床が前に傾斜しているのがわかる。
機走中にデッキに被った海水が後ろに流れていくと思いきや、良く見るとシュラウド横あたりのトゥレールで淀んでいたり、逆にじわじわとバウに向けて流れていく(笑)

「ヤマハ30C」というヨットが発売され、エンジンはヤンマーYC12(単気筒)。これも同じくバウ置きエンジン。速いフネというイメージは全く無いが、バウ置きに拘っている。ドライブシャフトは砲金製22Φで長さは約3.5mだったと記憶しています。シャフトを抜いて持ち上げると軽くたわむほどの長さで、これほど細くて長いヨットのシャフトはギネス級!?かもしれない。
後にこのフネの最後のバージョンにコックピット下にエンジン(ヤンマー2GM)を配したモデルが出たが、進水数はかなり少なく、なかなかお目にかかれない。これでバウ置きエンジンの歴史は終わります。すぐに「ヤマハ30CⅡ」にバトンタッチ。

どれも良いフネだと思うのですが、バウにあるエンジンがどうしても気になってしょうがない。
当時のヤマハの開発担当者に会えるものなら是非ともお聞きしたい「謎」であります。

今やクルーザーヨットを自社生産しなくなったヤマハ発動機ですが、私の世代はヤマハのヨットのカタログを見ながらヨット購入を憧れてきました。
無くなってほしくないな。国産ヨット。


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